米国大統領選挙の経済コラム。トランプ前大統領がもし返り咲いたらという「もしトラ」には東南アジアの国々も身構えている。みずからをタリフマンと呼ぶトランプ前大統領。米国が中国に対して高い関税をかけると行き場をなくした安い中国製品が米国以外の国に流れる可能性がある。その行き先の1つが東南アジアになるのではないかという警戒感が現地で高まっている。ことしに入ってからは安い中国製が大量に流れ込んできていて、地元企業の経営が圧迫されている。いわゆるデフレ輸出が起きている。ほかにもフライドチキンやコーヒー、これも中国のチェーンは安いということ。チキンは1ピースおよそ70円、そしてコーヒーは1杯およそ200円で売られていて、タイの大手チェーンより3割ほど安い。安売りを迫られると地元企業は大変。ただその一方で、東南アジアでは米中対立の漁夫の利を得られるという指摘もある。例えば最近、マレーシアに相次いで欧米の半導体企業が巨額の投資をしているという。マレーシアは欧米とも中国とも等距離で外交しているためどちらにも売り先があることに魅力を感じている。このように米中対立と米国の関税政策は世界経済に大きな影響を与える。誰が大統領に選ばれるのか、米国国民の判断を見守りたい。