トランプ氏は、前政権時代の2018年に、EUから輸入される鉄鋼製品などに高い関税をかけた。当時、イギリスも加盟していたEUも、これに報復関税で対抗し、貿易紛争に発展した。イギリスの革製品の老舗メーカーは、売上全体に占めるアメリカ向けの比率は35%ほどで、イギリス国内向けを上回り最大市場になっている。トランプ氏が外国からの輸入品に高い関税をかける方針を示していることに懸念を抱いている。食品加工に使う加熱装置などを製造するドイツの会社は、アメリカへの輸出が売上の2割を占めている。会社の代表は大統領選挙前、トランプ氏が当選すれば関税が引き上げられ、製品が売れなくなると強い不安を示していたが、先週には、関税が引き上げられた場合の対応策について検討を始めていて、20%の引き上げとなれば生産の一部をアメリカに移転することも考えざるをえなくなるという。ベルリンで開かれたアメリカとのビジネスに関わる経営者などのシンポジウムでも、その対応策について意見が交わされた。シンポジウムを主催した経済団体のトップは、新たな関税はアメリカの消費者にとっても望ましくないとして、速やかに関税政策などの再考をトランプ次期政権に働きかけていく考えを示した。専門家は、関税を課せられた場合、各国は影響の大きい自動車などの分野を支援するなどして、貿易摩擦を避けることも検討すべきだと指摘する。