JNNに寄せられた15枚の原稿用紙。震える文字で鮮明な記憶が綴られている。アメリカ軍が沖縄に上陸する5カ月前、那覇市などを襲った十・十空襲の描写。原稿を送った宮里愛子さん(88)。パーキンソン病を患い、2年前から老人ホームで暮らしている。10歳で空襲に遭い、その日を境に始まった避難生活。各地を転々とする中、地上戦が始まり、行動を共にしていた祖母と妹とはぐれ、たった1人の逃避行が始まった。避難する最中、忘れられない出来事がある。大勢の人々が死んでいく中、その死体の上を歩いていたという。砲弾を避け、避難民の後を追い、本島中部に辿り着いた。祖母らと奇跡的に再会を果たした。文章にしたのは自分と祖母がここにいたということを残すため。今は大丈夫だという人に自分の身に起こるかもしれないと訴えたかったという。80年間、家族にすら一度も明かすことのなかった戦争の記憶。一文字一文字に込められていたのは規制への切なる願い。