今回トランプ大統領がハーバード大学につきつけるのは留学生を受け入れる機関としての認定の取り消し。発表では現在在学中の外国人学生もほかの大学に転出しなければ滞在資格を失うとしている。ハーバード大学によると、大学に所属の留学生は約6800人で全体の27%に当たり、大学にとって厳しい措置と言える。トランプ政権は2期目の発足以降、資金の凍結など全米の名門大学への締付を強めてきた。対応は大学によって分かれているがハーバード大学は政権と全面対決の姿勢。 きょうは「政権と大学 対立の経緯」「政権側の背景は」「科学力低下の危機」の3つのポイントで解説。政権側は今年3月ハーバード大学とその関連団体に対して総額約90億ドルの助成金や契約見直しを発表。4月には大学での反ユダヤ主義対策で学生の取り締まり強化など要求。これを大学側が拒否すると政権側は助成金の一部凍結に踏み出した。これに対して大学側は助成金凍結の取り消しを求める訴えを裁判所に起こしている。さらに今月に入ってトランプ大統領はハーバード大学の税制上の優遇措置の取り消しを表明。そして、今回の新たな動きが留学生の受け入れ停止。なぜここまでトランプ大統領は大学への圧力を強めるのか。ニューヨーク・タイムズは政権が敵意の根源に、長年に渡って保守派が高等教育機関のエリート層に抱いてきた不信感があると指摘。大学の入学選考で人種を考慮する措置やDEIの推進など、大学がリベラル派の温床になっているという。こうしたトランプ政権による大学へのしめつけ、アメリカの科学力低下を招いている。イギリスの科学雑誌ネイチャーによると今年の最初の3か月間でアメリカを拠点とする研究者が海外求人への応募した数は前年比で32%増加。海外からアメリカのポストに応募する研究者の数は減少傾向が続いていると指摘。また、イギリスの経済誌エコノミストはトランプ政権の科学への攻撃は重大な自己破壊行為と指摘。20世紀以降のノーベル賞受賞者はアメリカを拠点とする研究者が55%。3分の1以上は外国生まれの研究者としている。
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