大接戦となる中で勝敗の鍵を握る存在として注目されているのがスイングボーター。特定の支持政党を持たず、選挙のたびに投票先を変えるいわば揺れる有権者。あるスイングボーターの決断を追った。スイングボーターの1人、スコットリチャードソンさん。激戦州の1つ、東部ペンシルベニア州に暮らしている。35年間レストランを経営し、この春、引退した。リチャードソンさんは2008年、民主党オバマ氏に投票。2016年には社会の変革を期待して共和党トランプ氏に。コロナ禍の2020年、レストランの経営が厳しくなる中、支援が十分でなかったとトランプ氏に失望。民主党バイデン氏の支持に転じた。今回の選挙では、どちらに投票するのか。1か月ほど前に取材した際には決めかねていた。スイングボーターは何を基準に投票先を決めるのか。投票行動について調査している団体。毎月スイングボーターへグループインタビューを行い、候補者の印象や政策への評価を調べている。調査の結果、スイングボーターは候補者に強い期待をして支持するものの、その後失望し全く違う候補者に乗り換える特性があることが分かった。いかにスイングボーターを取り込むのか。両陣営は戸別訪問を強化。さらに関心を引こうと著名人の知名度にも頼った。選挙戦も最終盤。ハリス氏とトランプ氏、スイングボーターはどちらを選んだのだろうか。選挙まで1週間を切る中、リチャードソンさんを再び訪ねた。この1か月、トランプ氏が現政権への批判や不満を繰り返すことにうんざりした。一方、ハリス氏が打ち出した住宅購入の支援など中間層に向けた政策に期待を持つようになった。一方、別の判断をしたスイングボーターもいる。激戦州、中西部ウィスコンシン州に住む退役軍人の男性。2016年はトランプ氏に投票。前回はバイデン氏。しかしこの4年間、国内の治安が悪化していると感じ、今回は再びトランプ氏を支持することになった。