ロシアによるウクライナ侵攻の停戦に向けた協議をめぐる駆け引きが活発になっている。イギリスの経済誌フィナンシャル・タイムズは22日、複数の関係者の話として、ロシアのプーチン大統領が今月アメリカのウィトコフ特使と会談した際に、和平合意に向けた取り組みの一環として、現在の前線でウクライナへの侵攻を停止することを提案したと伝えた。プーチン大統領はこれまで一方的に併合を宣言したウクライナ東部と南部の4つの州全域の領有権を主張してきた。報道が事実だとすれば、4つの州で掌握していない地域については初めて領有権の主張を取り下げる可能性を示したことになる。フィナンシャル・タイムズはヨーロッパの当局者の話として、プーチン大統領は見せかけの譲歩でトランプ大統領を誘い出し、ロシアの他の要求を受け入れさせようとしていると警告したとも伝えている。アメリカ側が示した和平案についてはウォール・ストリート・ジャーナルが20日に報じている。和平案にはクリミアのロシアによる併合をアメリカが承認することなどがあるとのこと。今後の焦点は、23日にイギリスのロンドンで開かれる協議。先週パリで行われた協議に続くもので、アメリカとヨーロッパ・ウクライナの高官が参加し、アメリカが示した和平案についての調整が行われるとみられている。協議の結果を踏まえて、アメリカのウィトコフ特使が今週後半にロシアを訪れ、欧米各国がまとめた和平案の内容をロシア側に伝えると見られている。ゼレンスキー大統領は22日の記者会見で、アメリカが示したとされる和平案について正式な提案は聞いていないと説明した。
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