3日から国連本部で開かれている核兵器禁止条約の締約国会議。条約にこれまで73の国と地域が批准している一方、今回の会議にはアメリカ・ロシアなどの核保有国やアメリカの核の傘のもとにある日本などは参加していない。この数年ロシアは核による威嚇を強め北朝鮮も核ミサイル開発を推し進めるなど一部の国では核を増強する動きも見せている。この状況に警鐘を鳴らすのがロスアラモス国立研究所の元所長・シグフリード・ヘッカー博士。博士は7回にわたり北朝鮮を訪れ核開発の実情をみてきた。いまヘッカー博士が危惧しているのはウクライナ侵攻での軍事侵攻の見返りとして北朝鮮がロシアへ核兵器開発の支援を求める可能性。北朝鮮がロシアとの関係を深めてきた背景には第1次トランプ政権の失敗が影響していると指摘。7年前トランプ大統領が現役大統領として初めて実現した米朝首脳会談。北朝鮮の非核化に向けた措置と引き換えにアメリカが経済制裁を緩和する考えを示し、交渉が重ねられた。しかし、折り合いがつかず交渉は物別れに終わった。ロシアがウクライナ侵攻を長期化する中ヨーロッパでは脅威への備えとして新たな核抑止力の議論が始まっている。博士はウクライナ侵攻が世界的な核秩序を崩壊させ、“転換点を迎えている”と警鐘を鳴らしている。