今日公開された外交文書で明らかになったのはGATT(ウルグアイ・ラウンド)の交渉過程。ウルグアイ・ラウンドとは、多国間による自由貿易交渉、農産物の輸入規制撤廃が原則としている。交渉の焦点となったのは、米国などが強く市場開放を迫った「コメ」。国内では自由化に反対する声が上がるなか政府は板挟みとなった。当時、総理大臣だった細川護熙氏は「国の内外の矛盾を解決するために際どい外交交渉だった」と話す。公開された外交文書では日本政府が交渉に苦慮する様子が記されていた。日本政府は全面的な市場開放はせず、最低限のコメを毎年輸入することで合意した。細川氏によると「実は要求は形式的なものだった」という。細川氏は、他国に対して日本にもプレッシャーをかけたという顔立てもあったと思うと話した。正式発表の数カ月前には日米政府間で秘密裏にコメンの部分開放で合意していたが、当時は秘密交渉の存在を否定していた。細川氏は「ウルグアイ・ラウンドを日本がぶち壊したとなると戦犯としての問題は大変大きなものになる、針の穴に糸を通すような交渉を困難な国内情勢の中で何とかやり遂げることができた」と話す。