これまで製作の過程で大量のCO2(二酸化炭素)を排出してきた映画産業でSDGsの取り組みが進んでいる。映画「ウィキッド」は児童文学「オズの魔法使い」のもう一つの物語。オズの中では西の悪い魔女とされた緑色の肌と魔法の力を持って生まれたエルファバと、「善い魔女」とされたグリンダの2人が恐れや偏見差別を乗り越え育む友情などが描かれている。映画産業では予算7000万ドル以上の大作映画で平均3370トンのCO2を排出してきたという試算がある。そこで映画制作会社ユニバーサルが立ち上げたのが「グリーナーライト・プログラム」。脚本執筆から完成まで製作過程のすべてで持続可能な現場作りを目指すもので、映画「ウィキッド」はこのプログラムの初の適応作品。撮影時の食品廃棄物は地元の農家に寄付したり屋内撮影では再生可能エネルギーを使ったりした。映像表現で印象的に使われた植物は地域に返し、黄色いチューリップに至っては染料として再利用した。「ウィキッド」のストーリーは動物の権利や人種差別といった課題を示唆する内容。トランプ大統領の再選で、多様性についての議論が巻き起こる中、制作者として込めたメッセージは。シンシア・エリヴォさんは「どんな姿でも声でも信仰でもみんな一緒で地球に住む人間だと改めて私たちが示せたかどうかが非常に重要」、ジョン・M・チュウ監督は「邪悪なだけや善良なだけの人はいないと気付くだろう」、アリアナ・グランデさんは「障壁がなくなってからは違いの中の美しさが見えてくる」などとコメント。