注目された9月の雇用統計は市場予想を上回り、労働市場の堅調さが示された。アメリカのエコノミストは、市場でくすぶっていた景気後退懸念は行き過ぎたものだったとみている。オックスフォード・エコノミクス・ライアン・スイート氏は、「雇用の伸びは加速。FRB(連邦準備制度理事会)注目の失業率は改善し、全体として良い内容だった。単月の結果だけでトレンドは見えないが、労働市場は依然持ちこたえている。市場の景気後退への懸念は、時期尚早で行き過ぎたものだったといえる。金利予想は変わっていない。11月、12月とも0.25ポイント利下げとなるだろう」と述べた。経済の堅調さを指摘する一方、労働市場は短期的に弱含む可能性もあるという。スイート氏は、「10月の雇用統計は悪化しそうだが、FRBが深刻に受け止めることはないとみている。港湾ストはかなり短期間だったので、雇用への影響は分からない。最も影響が大きいのはハリケーン「へリーン」で、南東部の大部分に被害を与えた。雇用を減らし、工業生産、住宅着工などに影響を与える」と述べた。労働市場は短期的な打撃を受けるとしているが、大統領選挙への影響はあるのか。スイート氏は、「アメリカ人は選挙において経済的利益を重視する傾向がある。大統領選においてもストライキは話題になるが、結局はインフレの動向が注目される。インフレがこれほど重要となる選挙は過去数十年で初めてだろう」と述べた。