IOC・バッハ会長の任期満了に伴い来年3月、会長選挙が行われる。今月、日本人として初めて立候補を決めたのが国際体操連盟の会長を務める渡辺守成さん。スポーツで平和を実現したいという思いがあった。160以上の地域に赴き選手たちの姿を見てきた渡辺さん。置かれた環境が違うからこそ。誰もがスポーツをする機会が守られることが大事だと考えてきた。しかし、選手の参加する権利が揺らぐ事態が起きている。ウクライナ侵攻後、ロシアとベラルーシに対し参加反対の声が上がりパリオリンピックでは参加が認められなかった競技もあった。先週、渡辺さんは会見で「スポーツの分野では握手できる、友情、連帯をつなげる。選手たち子どもたちのためにやらないといけないことがある」などとIOC会長に立候補した思いを語った。渡辺さんが信念を抱く原点になったできごとは、30年前渡辺さんが企画した新体操の国際大会で、当時、紛争によって参加できなかったボスニアとセルビアの選手たちを招待した。会場では激しく対立していた地域の選手が握手をした。3大会ぶりにベラルーシとウクライナの選手が共に参加した大会、ベラルーシの選手は中立な立場の個人資格の選手として出場した。競技後行われた表彰式で、ウクライナの選手は表彰台に向かうベラルーシの選手に拍手をおくることはなかった。最後まで視線をかわさなかった選手たち、渡辺さんはそれでもスポーツの力を信じ共に同じ舞台に立つことが大事だと考えている。IOC会長選には渡辺さんを含む7人が立候補していて、来年3月のIOC総会で投票で決まる。