私達のよく知るコーヒー豆はコーヒーノキという植物の実の中に入っている種子で、現在多く流通しているのはアラビカ種とロブスタ種といわれている。アラビカ種は全生産量の約60%を占めており、酸味と豊かな香りが特徴で質の良いコーヒーと言われる一方、ロブスタ種は苦みと香ばしさが特徴で病気に強い品種と言われており、風味の変化が少ないことから加工品にもよく使用されている。コーヒーを栽培するには土壌の質、気温や湿度、日当たり、雨量など様々な条件をクリアする必要があり、栽培に適していると言われる赤道を挟んで北緯25度から南緯25度までの一帯「コーヒーベルト」の中でも、栽培できる環境は非常に限られている。環境の変化によって病害が発生するというコーヒーノキ。環境対策が十分でない場合、現在、市場に出回るコーヒーのほとんどを占めるアラビカ種の産地は2050年には50%減少してしまう。そうなるとコーヒーを飲めなくなるケースも出てくる。全日本コーヒー協会・萩原孝治郎会長は「農家がコーヒーを作るのが大変で、利益もないのでやめてしまうなど、そういう点が心配になっている。一番問題なのは、コーヒーベルト地帯では規模が大きいので、山一つぐらいコーヒー農園があり、人が必要。肥料の価格はどんどん上がって、そういう理由で収入は減ってきて、貧困につながっている」と説明。環境問題に加え、農家の貧困が原因で生産者も減少傾向にあるという。萩原会長は「消費者一人一人に、コーヒーの2050年問題が近づいていることを考えてほしい」と話した。