中国で全国統一の大学入学試験「高考」が始まった。中国では高考の結果だけで進学できる大学が決まる。今年の出願者は1335万人と、10年前より約40%増加した。さらに近年、中国の景気減速による就職難の影響などで、少しでも就職に有利な大学を目指す競争が激しくなっている。中国で加熱する受験競争を取材した。河南省の高校に通う男性は試験直前の先月、朝6時から夜11時半まで勉強漬けの生活をしていた。希望の大学に進学するには河南省全体の上位10%ほどの得点が必要だとしている男性は「プレッシャーはある」などと述べた。タクシー運転手をしている父親は妻と共働きで2人の息子を育ててきた。父親は農村出身で高等教育を受ける機会がなかった。息子には「よい大学で学び希望する職に就いてほしい」と考えている。月収は夫婦で、日本円で26万円ほど。そのうち半分は長男の学費や生活費に必要。次男も大学に通わせたいとなんとか学費を工面してきた。加熱する受験戦争の背景にあるのが、若者の厳しい雇用情勢。16歳~24歳の失業率は15.8%。受験生の親たちの間では、験担ぎも流行している。その一つがチャイナドレスで、入試本番の日に着ると良いとされている。試験直前にはチャイナドレスを仕立てようと母親たちが店に列を作った。迎えた試験当日。タクシー運転手の父親は「最高の成績を取れるよう願っている」などと述べた。