午前4時、ソウルの街の一角を埋め尽くしたのは建設現場などでの日雇いの仕事を求める人たち。この日は約1000人が集まったが、最近の不動産市場の低迷の影響もあり、半数以上が仕事を得られなかった。「1週間以上出てきて仕事があったのは1日だけ」「私は66歳ですが現場では事故が起きるかもしれないので年寄りは使わない」との声が聞かれた。高齢者の貧困率は4割を超え、OECD加盟国の中で最も高い韓国。さらに厳しさを増す庶民の暮らしを高騰する物価が直撃する。価格破壊セールのスーパーには平日にも関わらず大勢の客が訪れていた。韓国では特に食品の値上がりが深刻でリンゴ・梨は9割、みかんは7割近く値上がりしている。そんな中で明後日に迫った韓国総選挙。山積する課題をよそに演説では互いへの非難に多くの時間が割かれている。与党のハン氏は事業を巡る背任などの罪で在宅起訴された野党・イ代表を名指しした上で「犯罪者を片付ける」と演説。一方でイ代表は「国会が与党に掌握されればこの国は戻れない奈落に落ちる」と演説。現状では物価などへの不満から野党優勢との見方がされている。政権が大型の物価対策を打ち出したことで与党がどこまで巻き返せたのか注目されている。