まるで音楽フェスのような空気が流れる中、迎えたのは日本唯一の24時間耐久レース。スタート前多くのファンが集まったのは普段は日産陣営でレースを戦っている近藤真彦さんがトヨタ自動車、豊田章男会長がオーナーを務めるルーキーレーシングのドライバーに。2人が乗るのは、去年の24時間レースで完走を果たした世界初の開発車両、液体水素燃料で走るカローラ。土曜日の午後3時。ついに24時間の旅がスタート。最初にステアリングを握ったのはモリゾウさん(豊田章男会長)。そして40分後。これが実に16年ぶりのドライバー復帰となる近藤さんにバトンが渡される。スタートからしばらくするとお祭りのようなこのレースの雰囲気は一変する。コース上でトラブルに見舞われるマシン。各チームのメカニックたちが対応に追われる。レース開始から1時間15分近藤さんが乗るカローラにも異変が。燃料供給系のトラブルで緊急ピットイン。15分後すぐにレースに復帰するが午後6時すぎ今度は複数のトラブルが発生。チームは長時間のレース離脱を余儀なくされる。夜8時を過ぎるとサーキットでは24時間名物の花火が。ルーキーレーシングのピットではレース復帰へ必死の作業が続く。離脱してから実に5時間。午後11時すぎ液体水素カローラが再びコースへ。過酷な状況で車の問題点を洗い出しそれをどう克服するか考え実行する。この後もトラブルが発生するがそのたびにチームは車をコースに戻す。日本唯一の24時間レース。そこに広がっていた光景はまさに走る実験室だった。