ロシアの侵攻後にアメリカがウクライナ側に無償で費やしたとトランプ大統領が主張している額は3500億ドル。日本円にしておよそ52兆円。この支援費用を巡って24日、フランスのマクロン大統領がトランプ大統領を正す場面があった。もともと、トランプ氏はウクライナ支援について「アメリカは無償で払っているのにヨーロッパはお金を取り戻すのはおかしい」という趣旨の発言をしていたが、これに対してマクロン氏は「ヨーロッパも6割は無償で渡した。お金を返してもらうなら侵略したロシアに言うべきだ」とも言って、きっぱりと言い返した形。ウクライナのゼレンスキー大統領やヨーロッパはトランプ氏がロシアのプーチン大統領の側にだけ立って話を進めていかないようにと釘を刺している。こうした24日の国連安全保障理事会で、紛争の終結を求める決議がアメリカやロシアなどの賛成多数で採択。この決議ではフランスなど5か国が棄権した。ロシアに批判的な内容が盛り込まれなかったことが理由ということでこの間の亀裂があらわになっている。国際安全保障に詳しい鶴岡路人准教授は「ヨーロッパからするとトランプ氏というのは中途半端にロシアに譲歩しすぎだという思いがある。ロシアに譲歩してもアメリカにメリットはないと言い続けるしかないだろう」とみている。日本の外交に詳しい関係者は「このまま欧米の亀裂が深まると日本にとって危険なことになる」と危機感をあらわにしている。「アメリカや日本にとって中国の軍事力は脅威だが、ヨーロッパにとっては中国の脅威は距離もあって自分事ではない。欧米の連携が崩れると日本にとっては相当まずいことになる」と指摘している。