関税を巡るやりとりに翻弄されているのがEUの酒造業界だ。EUは鉄鋼製品などのへの関税措置に対抗して、バーボンウィスキーなどを対象に新たに50パーセントの関税をかける方針。EUから輸入するワインなどの製品に200パーセントの関税を課すとトランプ政権は報復を宣言。EUはイタリアなどの反対でバーボンウィスキーを除外した。トランプ大統領が相互関税の措置を90日間停止することを受けEUはアメリカへの対抗措置は90日間保留すると発表。今後の関税は依然、不透明なまま。EUの酒造業界を取材した。ビール大国のベルギー。ビールの醸造所では、年間8800トンを生産。EUの域外ではアメリカ向けが最多。高い関税が課されると大きな痛手になる。アメリカ向けに売れなかったら終わりだとCEOは言う。例年のアメリカへの出荷量の半年分を駆け込みで輸出。大きな不安を抱えている。アメリカ市場を失えば日本などのほかの市場を見つけなければならないという。イタリアのワイン業界でも関税措置への対応が考えられている。イタリアワインの最大の輸出先はアメリカだ。見本市の参加者からは懸念の声が上がっている。ワイナリーを経営しているサルトーリさんがアメリカ市場に参入したのは40年前。関税をめぐる応酬で取引困難に。難航しているのは誰が関税分のコストを負担するのか。サルトーリさんにとってアメリカは最大の輸出先。撤退はできず、ジレンマを抱えている。イタリアのワイン協会会長は、アメリカと断ち切れない関係にあるという。