ここに来てウクライナとヨーロッパ諸国の結束が強まってきている。アメリカ・トランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の首脳会談を前にイギリス・フランス・ドイツなどは17日、有志連合のオンライン会議を開催した。ウクライナの領土の一体性を尊重するとの立場を確認し米露首脳会談で東部2州の割譲を要求したとされるロシアを牽制した。そのうえでアメリカとウクライナの首脳会談に合わせてイギリス・フランス・ドイツ・イタリア・フィンランドの5か国とEU、NATOの首脳が揃ってワシントンに乗り込んで、トランプ大統領がロシアのペースに引きずり込まれないように結束して働きかける。1938年のミュンヘン会談ではナチスドイツによるチェコスロバキアのズデーテン地方併合を巡りイギリス・フランス・ドイツ・イタリアの4首脳が会談した。イギリスの首相チェンバレンは戦火拡大を防ぐためチェコスロバキア代表がいない席でヒトラーの主張を受け入れた。軍事的要衝の割譲を余儀なくされたチェコスロバキアは半年ほどでドイツに併合され、その後ポーランド侵攻から第二次世界大戦へつながっていった。ロシアの力による現状変更を認めてしまえばやがてヨーロッパ全体の安全保障を揺るがして歴史の繰り返しにつながりかねない危機感がある。プーチン大統領は米露首脳会談で、ウクライナがドンバス地域の割譲に応じれば再攻撃しないと文書で確約する用意があると表明したとされる。これに対しヨーロッパ諸国は、ロシアが過去に書面による約束を破ってきたと指摘している。イギリス・フランス中心の有志連合による平和維持部隊の派遣も検討されているがロシアの再侵攻を確実に防ぐためにはアメリカの関与が大切なポイント。トランプ大統領は18日のゼレンスキー大統領との会談で安全の保証にアメリカも関与すると明言した。プーチン大統領とゼレンスキー大統領が会談すれば2019年以来となる。ロシアのラブロフ外相は、いかなる形式も拒否しないとしながらも全ての必要な段階を経て進める必要があるとしている。