先週の米ロ首脳会談で議論されたのは主に”領土めぐる問題”と”安全の保証”の2つである。”領土めぐる問題”では東部のドネツク州とルハンシク州からウクライナが完全に撤退する代わりに、ロシアは南部のヘルソン州とザボリージャ州で前線を凍結することを約束すると提案したと報じられている。ルハンシク州はほぼ全域がロシア軍に掌握され、ドネツク州も今月上旬時点で75%が制圧されたという分析がある。そして”安全の保証”は再び攻撃されないためとして、ウクライナが兼ねてから求め続けてきたものである。ウクライナが加盟を求め続けてきたNATOの条約では第5条で”加盟国が攻撃を受けた場合、全体への攻撃とみなして対応する集団的自衛権の行使”を定めている。ロシアは米ロ首脳会談でウクライナのNATO加盟を認めない一方、ウクライナが何らかの安全の保証を受けることにはオープンな姿勢を示したと伝えられている。トランプ大統領の側近は”アメリカがNATOと似たような形で安全の保証を提供する用意”があるとした。ゼレンスキー大統領は訪米前に「トランプ大統領に大変感謝している」などと話した。会談を前にトランプ大統領はゼレンスキー大統領について”彼が望めばほとんどすぐに戦争を終わらせることができるし戦い続けることもできる”とSNSに投稿した。その上でウクライナ側の譲歩も必要だと主張した。ゼレンスキー大統領もSNSを更新し”米や欧州の友人たちとの共同の力がロシアを真の平和へ向かわせることを願っている”とした。両者の会談は日本時間のあす午前2時すぎから行われ、その後欧州首脳らも交えた会談が行われる予定である。