米国のFRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長は西部のジャクソンホールで開かれているシンポジウムで講演し、来月の会合で利下げに踏み切る考えを示した。2年余りにわたって続けてきたインフレとの闘いが、終わりに近づきつつあることを示唆した形。23日、FRBのパウエル議長は講演で「インフレ率は2%の物価目標に持続的に向かっているという私の自信は深まった」と述べたうえで「金融政策を調整する時が来た」と発言し、来月の会合で利下げに踏み切る考えを示した。FRBはおととし3月からあわせて11回の利上げを行い、高い金利水準を維持してきたが、インフレとの闘いが終わりに近づきつつあることを示唆した形。インフレの要因となってきた人手不足など労働市場の現状については「かつての過熱状態からかなり落ち着いてきている」とした一方で、「労働市場のこれ以上の冷え込みや減速は求めも、望みもしない。インフレが再加速するリスクが減った一方、雇用が悪化するリスクが増大した」として景気減速への警戒感もにじませた。発言を受けて23日のニューヨーク株式市場では、幅広い銘柄に買い注文が広がり、ダウ平均株価は一時、490ドル以上値上がりした。また、ニューヨーク外国為替市場では日米の金利差縮小が意識され円高が進み一時、1ドル=144円台前半まで2円余り値上がりした。