ワシントン支局の根本幸太郎記者に聞く。今回のトランプ氏の勝利。米国国内ではどう受け止められているのだろうか。米国社会が真っ二つに割れた選挙の直後だけに共和党内は喜び、民主党内は落胆と国民の反応は両極端。また事前に大接戦の世論調査が伝えられていただけにトランプ氏の圧勝ともいえる結果は驚きをもって受け入れられている。7つの激戦州では、トランプ氏がこれまでに5つを制し、開票が続く2つの州でも得票率で上回っており、全勝する可能性がある。米国メディアは共和党のイメージカラーの赤をとって「全米でレッドウエーブが起きた」とトランプ氏の復活劇を大きく伝えている。今後の米国と日本との関係はどうなっていくと考えられるか。トランプ政権の発足後も日本との関係を重視するという大きな方向性は変わらないと思う。米国は今覇権主義的な動きを強める中国としのぎを削っており、安全保障や経済分野などで対中国包囲網を作るうえでアジアの同盟国、日本の存在は欠かせないから。一方でディール=取り引きを重視するトランプ氏の外交は予測不能ともいわれていて、かつて日本に対して貿易分野などで厳しい要求を突きつけてきたこともある。トランプ氏はリーダーどうしの1対1の関係を重視するため日本としては石破総理が早期に会談するなどして信頼関係を築けるかが焦点となる。国際情勢にはどのような影響を与えると見ているか。トランプ氏が仮に選挙中に言及した政策を実行に移せば、世界に大きなインパクトを与えることになると思う。ウクライナを巡っては支援の継続に消極的でロシアとの間を仲介して戦闘を終結させるとしているほか、中東情勢でも和平を実現できると自信を隠しない。果たして有言実行といくのか、やり方を間違えれば事態を悪化させるリスクも伴う。トランプ氏が勝利を決めた今次期大統領としてその発言はこれまでと比べものにならないほど重みを増し、世界中がその一挙手一投足を追うことになる。