G7(主要7か国)で初めての国防相会合は、イタリア・ナポリで開かれた。この中では、インド太平洋地域を巡って中谷防衛大臣が、中国とロシアの軍用機が日本の領空を相次いで侵犯したことや、ロシアと中国や北朝鮮が連携を強め、活動を活発化させていることなどを説明した。G7は、中国軍が台湾周辺で行った大規模な軍事演習に懸念を示すとともに、一方的な現状変更の試みに反対していくことで一致した。また、「ウクライナ情勢」をテーマにした討議では、ウクライナ・ウメロフ国防相も特別に参加して、ロシアによる軍事侵攻を終わらせるためとしてまとめた「勝利計画」を説明した。これを受けてG7は、ウクライナの主権などを尊重した公平で持続的な平和の実現に向け、揺るぎない支援を確認した。一連の討議を終えて、インド太平洋地域の安全保障や防衛に関与し続けることや、ウクライナのNATO(北大西洋条約機構)への加盟に向けたプロセスを支持し、軍事的な支援を続けることなどを盛り込んだ共同宣言を発表した。今回の日本政府のねらいについて、政治部・稲田清のリポート。訪問のねらいは、ヨーロッパ各国の関心を東アジアにつなぎとめておくこと。G7が、この地域の安全保障に関与し続ける姿勢を示したことには、政府関係者も「これまで働きかけてきた成果」と話していた。ただ、ロシアのウクライナ侵攻は出口が見えず、中東情勢も悪化していることから、防衛省幹部は目前の問題にとらわれ、アジアから目が離れることを懸念していると話している。政府としては、東アジアへのさらなる関与を引き出すために、G7各国とも個別に防衛協力を進めるなど、重層的なつながりを築いていきたい考え。