鮮やかな音色を奏でるバイオリン。きのうタイの「イマヌエルオーケストラ」の演奏会が都内にあるタイ大使館で行われた。演奏しているのは中学生と高校生の子どもたち。彼らが暮らしているのはタイ・クロントイ地区。ここは約10万人の貧困層が暮らすバンコク最大のスラム街だ。タイの平均月収は約10万円だが、ここでは月3万円に満たない人々が暮らしている。そして貧困地域で問題となっているのが麻薬などの犯罪だ。スラム街で育つ子どもたちを犯罪からとおざけるためには何か熱中するものが必要だとし、23年前、ノルウェー人のキリスト教宣教師が無償で楽器を子どもたちに教える音楽教室を開いた。その後誕生したのがイマヌエルオーケストラだ。現在70人以上が所属し、これまでにタイ国内で100回を超える公演を行ってきている。このオーケストラでバイオリンを担当しているのが16歳、高校2年生のプレオさん。演奏歴は11年になる。両親が離婚し、父親と暮らすことになったプレオさん。父は単身赴任のため祖父母と3人で暮らしている。プレオさんは「ここの暮らしは良いところもあるが麻薬などもあり良くないところもある。将来は海外で演奏する世界的な音楽家になりたい。タイのスラム街にも音楽家はいると知ってほしい。」と話す。オーケストラの指導者によるとスラム街で育った子どもたちは環境を変えたいという情熱があるため上達が早いという。来日を間近に控え、プレオさんはメンバーとともに日本語を勉強。そして都内に到着。