来年4月の万博開催を控えホテルの開業が相次いでいる大阪では、深刻な人手不足の中で対応に追われている。5月にオープンした米国の大手チェーンのホテルは、部屋からの眺望と大阪中心部にある利便性などを売りに、幅広い層を取り込みたいとしている。大阪では来年の万博、その後のIR（統合型リゾート）施設の開業などによる観光客の増加を見越して、高級ホテルが続々とオープンする予定。一方、関西の旅館ホテル業は、ほかの業種と比べて正社員の人手不足が深刻。新型コロナの感染拡大で離れた従業員が戻らないことや、外国人観光客の増加で人材の取り合いとなっているため。
人手不足の解消に向けて大阪随一の老舗ホテルでは、調理を専門に学んでいない普通科の高校を卒業した若者を正社員として初めて採用した。これまでより技術の習得に時間はかかるが、丁寧に教えていくことで定着を図るのがねらい。新しい働き方で人手の確保を目指すのは、都市部の中規模ホテル。着目したのは“スキマバイト”と呼ばれる単発・短時間のアルバイト。研修が必要な接客業務以外の比較的簡単な作業を切り出し、2時間単位で募集。取材した日は大学生が午前6時から2時間、朝食バイキングの準備を行っていた。去年10月以降、スキマバイトで働いたのは延べ1700人余り。主にレストランで受け入れていたが、ホテルでは今後、受け入れの拡大を検討している。