本日のテーマは「中国はトランプ関税にどう対応しているか」。伊藤忠総研の玉井氏が解説。トランプ関税の影響は4月の経済指標に表れ、製造業49.0と50を割り込んだ。輸出受注が大幅に悪化しており、さらに先週末発表になった貿易統計をみると輸出の総額自体は伸びを高めている。そうした中12日にはアメリカと中国が関税の大幅引き下げに合意した。関税が引き下げられたといっても対中関税は30%、個別の自動車は45%。中国の対米追加関税は10%、個別エネルギー産品への関税には別途かかっている。今後交渉が進展しなければ24%が復活して対中関税が54%、対米追加関税が34%に戻るという下振れリスクもある。一方で上振れリスクもありフェンタニル対策の20%が引き下げられたり、90日間の猶予期間が延長される。上にも下にも大きな不確実性が残っている。関税が引き下げられても25年26年の2年間の試算でGDPは約-0.9%に。これによりアメリカ以外の国への輸出が押し下げられたり、国内の消費や投資も比べると中国の景気減速は避けられない。中国は既に景気対策をとり、財政拡大、金融緩和、輸出企業支援といった政策を示した。輸出先の変更、輸入元の変更を通じて関税の悪影響の緩和を図っているもよう。今後の政策次第だが今年の成長率4%を下回ってしまう可能性もある。アメリカは貿易赤字縮小のために中国の過剰生産の是正やアメリカからの輸入拡大を求めていく。それに中国側が応えられるかが焦点になる。今回の貿易協議で注目なのが公安担当も参加するため中国のフェンタニル対策が今後交渉のカギになる。