徴用された市民の働き先は戦地にも広がっていた。日本軍は連合国軍との戦いの前線となっていた南太平洋のブーゲンビル島に飛行場を建設し、連合国軍を食い止めようとした。山本五十六の搭乗機は米軍機の待ち伏せ攻撃に遭い撃墜された。海軍設営隊は物資や食料の不足に苦しんだ。18歳の技術者・赤羽恒男の手記には「物資の補給は途絶えヘビやトカゲを捕まえる」「迎撃に飛び立った戦闘機が爆弾で大穴だらけの滑走路へ戻ってくる」「破壊されたゼロ戦の機体に悔しさで胸が詰まった」などと綴られていた。アメリカは日本の輸送を絶つ作戦に乗り出し、船は次々に沈められていた。