プラスチックによる環境汚染の防止に向け、各国は法的拘束力のある国際条約を今年中に取りまとめることを国連で決議し、先月から始まった政府官交渉委員会で条文案の合意を目指してきた。プラスチックの生産量の規制などをめぐり意見の対立が続き、最終日のきのうEUなどの主張を踏まえ、世界的な削減目標を設け各国が目標達成のために取った対応やデータを報告するという案と、プラスチックの原料となる石油の産出国などが規制に強く反対していることを踏まえ、条約に盛り込まないという案の対照的な2つの選択肢が示されたまま、意見の隔たりが埋められなかった。今回の交渉での合意を見送ることを提案し、各国が同意した。今後、改めて会合が開かれ、今回の交渉内容をもとに条文案をまとめるための協議が再開されることになる。大量のプラスチックが海岸に流れ着く当初国などの実効性ある対策を求める声は切実な一方、産油国にとって生産量の規制は自国の産業に大きな打撃で譲れない姿勢は一貫していた。ただ、世界ではプラスチックによる環境汚染が急速に進み、今、何らかの対応を取らなければ人間の健康や生態系への悪影響は避けられない。今後の交渉で知恵を出し合い、各国が折り合える着地点を探せるかどうか、日本を含む各国の姿勢が問われている。