貧困率が3割を超えているというブラジル、その多くが住むとされる貧民街「ファベーラ」。犯罪組織の拠点ともなり、住民が銃撃戦に巻き込まれることもあるという。さらに電力の確保に関しては公共の電線から許可なく電力を引き込む「盗電」も横行している。そんな中、住民自らソーラーパネルを設置し、電力を電力会社に売るというプロジェクトが注目されている。ファベーラのあるリオデジャネイロ市では人口の2割ほどが暮らしている。ファベーラに住むアダウベルト・アウメイダさんは9年前に「ヘボルソーラー」というソーラーパネルを設置するNGOを設立。まずアダウベルトさんたちは寄付金などをもとにソーラーパネルを公共施設などの屋根に設置、発電した電気を電力会社に売却した。この収益をソーラーパネル購入に充て、さらにソーラーパネルを増やしていった。この活動の背景にあるのはインフレに伴った電気代の高騰。ブラジルでは今年も平均で5.6%電気代が上がるとされている。この住民負担を軽減するためヘボルソーラーでは住民で協同組合を組織しソーラーパネルを設置、そこで得た収益を分配する。この仕組みで電気代が平均10%減ったという。この仕組みを立ち上げたのは現在ヘボルソーラーの代表を務めるエドゥアルド・アビラさん。エドゥアルドさんはこの状況を社会問題の変革とサステナビリティの取り組みをリードするチャンスだと捉えているとし、ブラジル政府もこれを高く評価、今年行われるG20で貧困撲滅や持続可能などを提唱、このプロジェクトを紹介する。またヘボルソーラーでは電気技師の国家資格取得講座を行い、雇用安定につなげた。