東南アジアのマレーシアで今、半導体工場を建設する動きが相次いでいる。なぜ投資が集中しているのか、その背景を探った。先月、ドイツの大手半導体メーカーが3000億円を投じてマレーシアに新たな工場を完成させ、記念の式典を開いた。EVなどに使われる半導体を生産する計画。マレーシアでは欧米のメーカーが相次いで投資計画を発表。半導体などの投資額は、去年は前の年の3倍に拡大した。マレーシアは1970年代から半導体メーカーが進出し“東洋のシリコンバレー”とも呼ばれてきた。当時、求められていたのは労働力だったが、ここ数年は別の理由で再び投資が増えている。多くの民族や文化が共存し、外交面でも中立な姿勢が特徴のマレーシア。半導体を巡る米中間の競争が激しさを増す中、メーカー各社は両国への輸出を視野に、マレーシアでの生産拠点の整備に力を入れている。マレーシア側も空港のそばに埋立地をつくり、工場の用地として活用してもらうなど半導体産業の誘致に積極的。半導体関連の研究機関なども設ける予定で、3年後には工場の稼働を見込んでいる。マレーシアに投資を集中させるメーカーの需要を取り込もうと、すでに現地に進出している日本企業も動きを加速させている。半導体作りに必要な装置を手がける京都のメーカーは、複雑な電子回路を樹脂で保護する技術力が強みで、こうした装置の販売では世界で6割のシェアを持つ。工場の生産能力をおととしまでに3倍に引き上げていて、今後も強化していく方針。