印刷のインクや印刷顔料でトップシェアを誇るDIS。その研究施設にあったのは新たに開発されたEVに使われるオイルの添加剤。一体何が新しいのか、EVのモーターに見立てた装置で試してみると、従来品は泡立つが添加剤を加えたオイルは泡立ちが抑えられていることが分かる。EVのモーターには「eアクスル」というシステムが搭載されている。高速で回転し光熱を発するため、従来の潤滑油では泡立ちが大きな課題だった。今回DICが新たに開発した添加剤をオイルに加えることで発生する泡を抑えることができ、EVにも対応した高い性能があるという。さらに今回開発した新製品にはもう1つ特徴がある。これまで泡立ちを抑えるためにはPFAS(有機フッ素化合物)を加える必要があったが、新製品の最大の売りは「PFASフリー」。PFASは水や油を弾き熱に強いため、これまでも幅広い工業製品に使われていた。しかし一部で人体・環境への悪影響が指摘されていることから、欧州が規制する方針で、世界では「脱PFAS」の動きが進んでいる。新製品はPFASを使用せずに泡立ちを抑えるこれまでにない添加剤だという。今年中に量産化して販売を開始し、2030年に20億円の売上を目標にしている。