米国やロシアを含めた合わせて7か国の間で24人の身柄が交換された。ロシア側から釈放されたのは16人でこのうち4人が米国に12人がドイツに戻る。そして、米国からは3人が釈放された他、スロベニアからは2人、ノルウェー、ドイツ、ポーランドから、それぞれ1人が釈放されるなどし合わせて8人がロシアに戻る。冷戦終結後、例を見ない大規模な身柄交換は、選挙戦を撤退し残り任期が6か月を切ったバイデン大統領にとって外交面で自身が示す遺産レガシーとなることは間違いない。対立するロシアとの交渉を水面下で進め、ドイツなど各国を巻き込んで身柄交換の合意を実現したことは、外交手腕を示した大きな成果となる。一方、身柄交換は、ロシア・プーチン大統領にとっても大きな成果。ドイツが釈放したロシア人工作員・ワジム・クラシコフ受刑者はロシア連邦保安局の工作員で2019年、ベルリンの公園でチェチェン紛争の元戦闘員を殺害した罪で終身刑を言い渡されドイツで収監されていた。プーチン大統領への忠誠心が強いクラシコフ受刑者の釈放はかねてからプーチン政権が強く求めていて今回の身柄交換にロシア側が応じる重要な条件だったとみられている。今回の事例はプーチン大統領に人質外交が機能することを改めて証明したことにもなり、米国は非常に危険な前例を作ってしまったともいえる。トランプ氏はSNSに「将来の悪い前例となる。彼らは米国を恐喝している」と投稿して身柄交換を非難した。トランプ氏は秋の大統領選挙で自身が勝利すれば、無条件で米国人記者を釈放できると主張していたことから、悔しさも含まれている可能性もあるがトランプ氏の主張には一理あり今後、共和党が非難を強めるとみられる。望月さんは「家族の喜びの傍らで大規模な身柄交換の功罪が顕になっている」と話した。