今回のNATO首脳会議の様子を描いた風刺画を紹介。王様の玉座に書かれたのは「トランプ」の文字。ウェイターが持つのはトランプ氏好物のマクドナルドとコーラ。NATO首脳たちがいかにトランプ氏に気を使っていたかを示している。NATO・ルッテ事務総長は「あなたは何十年もの間どのアメリカ大統領もできなかったことを成し遂げるでしょう」と持ち上げた。加盟国はついにトランプ氏が求めた防衛費の目標GDP比5%で合意した。しかし5%という目標は加盟国の多くにとって財政的に実現が困難。NATOはロシアに対抗する軍事同盟だが、各国の足並みは揃っていない。ロシアに近いポーランドなどは4.12だが、地理的に遠いスペインやイタリアは2%すら下回り、大幅な増額には消極的。スペインのメディアによると、GDP比5%を達成するには年間13兆円以上の予算が必要で、国が負担する医療費に匹敵する。スペイン・サンチェス首相は「我が国にとってロシアは差し迫った脅威ではない」と発言をしていて、今回、免除を求めたがトランプ氏は激怒し「貿易交渉で倍のコストを負担させる」と警告した。NATO側も粘り強い交渉を続けた。GDP比3.5%を純粋な「防衛費」、1.5%を「防衛関連費」とする枠組みを提案し合意した。防衛関連費にはインフラ整備やサイバー対策なども計上できる。ホワイトハウスは日本などアジア太平洋地域の同盟国も防衛費をGDP比5%に引き上げることが可能との認識を示した。昨年度GDP比1.6%、8.9兆円の日本が実現すると 予算は約30兆円に膨らみ、社会保障費の8割に相当する。今回のNATO首脳会議の合意文書には、「2029年に見直される」という一文が盛り込まれた。これはトランプ大統領が任期を終える年。防衛大学校・広瀬教授は「加盟国の中には“トランプ後”に目標が下方修正されることを見越して今は同名の結束を優先し財源を先送りしている国もあるのではないか」と指摘した。薮中三十二は「GDP比という言葉が危うい」、「異常事態がヨーロッパで起きていて、ロシアの防衛費がGDP比で7.05%」、「ヨーロッパで起きていることとアジアで起きていることは全く違う。日本は慌てることはない」、松原耕二は「ルッテ事務総長はオランダで最長の首相。だから老練な政治家だからこそああいう歯の浮いたことが言えるんじゃないかと思う」、「最近の日本の外交を見ていると防衛費の問題も出る杭にならないように息を潜めてすごい気を遣っているように見える」などとコメントした。