日本で年金の不満を聞くと「今の高齢者に自分が働いた分払われているから、理想は将来の自分に返ってくるほうが良い」「知らないジジババに納めるより自分に返ってきた方が良い」などの声が。そんな日本と真逆なのが東南アジア・マレー半島の南東にあるシンガポール。東京23区ほどの小さな国土に約600万人が暮らしている。シンガポールと言えば「マーライオン」やホテル・ショピングが入った複合施設「マリーナベイサンズ」にはカジノも。夜になると噴水をライトアップしたショーが毎日無料で見られるなど、ド派手でバブリーなイメージの国。そんなシンガポールでいま問題となっているのが高齢化。そのスピードは凄まじく、約20年前には10%未満だった高齢者が現在ではなんと20%超えに。一方で日本も65歳以上の割合は約30%と高齢化大国として有名だが、1人の女性が生涯に生む子どもの平均を示す「合計特殊出生率」を見てみると、日本が1.14なのに対しシンガポールは0.87。深刻な少子高齢化問題を抱えるシンガポールだが、12年前に国のトップから驚きの発言が。当時の首相、リー・シェンロンがSNSに日本の高齢化問題に触れた記事を投稿。そこには「日本の若い世代は年金と健康保険を高齢世代のために支払うことに不満を持っている。一方、高齢世代は若い世代が高齢者に対して思いやりがなく感謝をしないと苛立っている。これはシンガポールにとって教訓だ。日本のような状況をシンガポールで起こしてはならない」と書かれていた。まさに日本を反面教師にして成長したシンガポールはどんな年金制度を運用しているのか。シンガポールの年金制度「CPF」は1955年に始まった制度で、個人と会社が一定額を積み立てる強制貯金システム。この仕組みを整えたのがシンガポールの初代首相、建国の父とも言われたリー・クワンユー。厳しい統治で知られる一方、国民生活を支える政策を次々打ち出し、現在のシンガポールの礎を築いた立役者。日本の年金制度は働く世代が納める保険料を高齢者の年金に充てる「賦課方式」。仕送りのような仕組みのため、自分で払ったお金はそのまま返ってくる訳では無い。しかしシンガポールのCPFは自分で自分の口座に積み立てるため、払った年金は必ず自分に返ってくる。さらにその積立率はかなり高く、日本の厚生年金が約18%なのに対し、シンガポールの若い世代は約37%をCPFに積立している。日本にもiDeCoなど積立型年金はあるが、あくまで任意加入のため国民全体を対象とした強制制度ではない。80歳の男性は自分の年金額を見せてくれた。毎月4万4,000円をおろしているという。そしてシンガポールの高齢者専用の激安マンションに潜入した。
