ロシアによるタリバンのテロ組織指定解除の狙いは、テロ対策でタリバンとの連携を強化していくことがあるとみられる。ロシアではイスラム過激派組織の関与が指摘される事件が相次いでいる。去年3月にはモスクワ郊外のコンサートホールで140人以上が死亡する銃撃事件が起き、過激派組織IS戦闘員による犯行とみられている。アフガニスタンはタリバンと対立するISの地域組織が活動するなどテロの温床になると指摘されてきた。ロシアとしてはタリバンと協力することで、ロシア国内へのイスラム過激派の流入を防ぎたいものとみられる。タリバン暫定政権・ムッタキ外相はアフガニスタンに駐在するロシア大使と会談して謝意を述べた上で”両国間の政治・経済面での協力拡大を阻んできた唯一の障害が取り除かれた”と述べて両国間の関係強化に強い意欲を示した。アフガニスタンを巡ってはタリバンが女性の人権を侵害しているとしてアメリカなどが厳しい制裁を続けている。タリバンとしてはエネルギー開発など経済面での連携のほか、ISの地域組織に対する取り締まり強化に向けたテロ対策でもロシアとの関係を強化し、国際的な孤立も避けたい狙いがあるとみられる。