参議院本会議で可決成立したスマホ特定ソフトウエア競争促進法。米国のアップルやグーグルなどを念頭に、巨大IT企業による市場の独占を規制する法律。具体的には、スマホの基本ソフトやアプリストア、ウェブサイトを閲覧するためのブラウザ、検索エンジンの4つの分野で競合他社の参入を妨害することや検索結果で自社のサービスを優先的に表示することを禁止する。違反した場合は関連する国内での売り上げに対し20%の課徴金が課される。政府は来年の末までに法律を施行するとしている。アプリ開発を手がける事業者などの業界団体も新しい法律に期待を寄せている。岸原さんは、現在、事業者がアプリを配信する場合、アップルやグーグルなどと契約するしか選択肢がないと指摘。今回の法律によって新たな企業がアプリストアを展開することになれば最大30%というという手数料が下がるとみている。公正取引委員会は、アップルと50万以上の国内事業者の取引が適正かどうかを監視していくことになる。アップルのアプリストアでアプリを提供する国内の事業者は実に50万以上。しかし、現在、14名体制で強化が必要だという。巨大IT企業への規制で先行するEUでは、取引を監視する専門家はおよそ100人。また先月、日本と同様に巨大IT企業への規制を強化する新法を成立させた英国では、現在60人いる専門スタッフを200人に増員していくと表明。海外に比べて日本の体制の脆弱さが際立っている。アップルやグーグルは政府との協議の中で、アプリの運営や決済システムを開放すれば、セキュリティーが危うくなるなどと懸念を示し、規制の緩和に慎重だという。