人間は戦争に突き進む謎を探るため、番組は全論文解読システムを活用。膨大な研究論文の中から戦争、紛争、暴力などに関するものを抽出して読み解き、研究者が高い関心を寄せているテーマのランキングをはじき出した。すると第5位には協力性という言葉が入り、注目度1位の論文のタイトルには「オキシトシン」があった。最新研究から人間を戦争へと突き動かすオキシトシンの一面が見えてきた。それを突き止めたライデン大学のデ・ドリュー教授は「協力的にするだけでなく非常に攻撃的にする働きもある」と話した。ネズミの実験でオキシトシンの攻撃性を確かめた映像を伝えた。赤ちゃんを生みオキシトシンが分泌されている母ネズミに初対面のネズミを近づけると攻撃を仕掛けた。オキシトシンには守るべき相手とそうではない相手を線引し攻撃を促す作用もある。デ・ドリュー教授はオキシトシンの線引きする性質が人間でどう働くか確かめるため、オキシトシンのスプレーを鼻から吸った被験者に「トロッコ問題」と呼ばれる実験をやってもらった。暴走した列車が行く先にいる5人の作業員がおり、レバーを動かして進路を変えると5人は助かり違う線路の作業員1人が犠牲になるという実験で、デ・ドリュー教授はこのトロッコ問題の1人の作業員に「外国人の名前」と「自国民の名前」をつけた場合でこの1人を犠牲にする行動がどう変化するかを確かめた。オキシトシンを吸わない状態ではどちらの名前でも1人を犠牲にする傾向に違いはなかったが、オキシトシンを吸引すると自国民を犠牲にする傾向が減少し外国人の名前では増加した。オキシトシンの作用で外国人には線引きをして犠牲もやむを得ないと思う傾向が強められたと考えられる。