深刻な経済危機の影響で、事実上のデフォルト債務不履行に陥ったスリランカで、大統領選挙の投票が行われた。選挙は現職の大統領のウィクラマシンハ氏、野党 統一人民戦線の党首・プレマダーサ氏、野党の左派勢力、国民の力を率いるディサナヤケ氏の事実上3人で争われた。スリランカは、インフラ整備のための借金で対外債務が膨らんだことに加えて、新型コロナによる観光客の激減などで、おととし、深刻な外貨不足となり、事実上の債務不履行に陥った。その後、大統領に就任したウィクラマシンハ氏は、IMF(国際通貨基金)から支援を取りつけたうえで、増税や電気代などの値上げに踏み切ったが、国民の強い反発を招き、緊縮政策の是非が最大の争点となった。日本は主要な債権国の1つであることから、債務問題の解決に向けた枠組みを主導してきた経験があり、コロンボ近郊の国際空港でJICA(国際協力機構)が円借款を供与して、空港機能の拡張を図る事業の再開も決まっている。大統領選挙の結果次第では、こうした事業の前提となる債務の再編にも影響が及ぶ可能性があり、選挙の行方が注目されている。