大統領選挙で揺れる米国に日本、そして世界はどう向き合えばいいのか。専門家に話を聞いた。訪ねたのは、国際政治学が専門の京都大学の中西寛教授。中西教授「米国の内政、選挙によって政策がぶれることは、日本にようなエネルギーを依存する国にとって、考えなければいけない変数が大きく増える。米国はどういう方向になっても、対応できるように備えていくことは必要」。一方で、安全保障政策を巡っては、選挙結果にかかわらず米国の世界の中での立ち位置は長期的には変わっていくのではないかという。中西教授「特に中国や北朝鮮との関係において、日本がまずできることをやる。米国はそれを後ろから支えるという傾向になっていくのではないか」。その上で、世界は新たな秩序を作らなければならず、日本もやるべきことがあると指摘する。中西教授「ウクライナに対するロシアの侵略、ガザに対するイスラエルの侵攻。いずれも、ひとつの立場で説得して世界をまとめることはできない状況。今できるのは、そういう事態を率直に受け止め、様々な状況に備えながら、長い目で見て新しい秩序をつくり上げていく。その上で日本が知的な意味でのリーダーシップ、説得をすることが日本に課せられた課題だと思うし、日本に本来的にできることではないか」。中西教授は、日米同盟が日本外交の基軸であることに変わりはないものの、世界情勢が複雑化する中で、今後は米国だけでなく韓国やオーストラリアなど価値観を共有する国との関係を強化して、新しい秩序の構築に向け、日本がどのような役割を果たせるかが問われていると指摘していた。