外国人の送還や収容のルールを見直した改正出入国管理法がきょう施行される。これまでに申請を3回以上退けられたのち後に難民と認定された人もいて、迫害の恐れがある人を見過ごすことがないのか外国人の支援団体などから懸念も示されている。名古屋市に住むキンマウンソーさんのケースを紹介。ミャンマーのイスラム教徒の少数派ロヒンギャで2007年に国を逃れ、日本に来た。政治活動を理由に政府当局から捜索を受けるなどしていたため。ミャンマーでロヒンギャは長く差別の対象となっていて、軍による大規模な掃討作戦で大勢の人が殺害されるなどしてきた。日本の保護を求めて4回難民申請を行ったが、「個別具体的な迫害事情は認められない」などとして全て不認定だった。このまま強制送還されるのではないかと不認定処分の取り消しなどを求め、4年前に裁判を起こた。1審は敗訴、しかし2審の名古屋高等裁判所は今年1月、迫害を受ける恐れがあるとして難民と認めるよう国に命じ、判決はその後、確定した。来日から17年、ようやく難民と認められたキンマウンソーさんは今回の法改正で、難民として本来保護されるべき人たちが強制送還されてしまわないか不安を募らせている。改正法の施行にあたり、出入国在留管理庁は「今後も保護すべき方々を一層確実、迅速かつ安定的に保護できるよう、しっかりと取り組みたい」とコメントしている。一方、入管の元職員で入管行政に詳しいに木下洋一さんは今回の改正に一定の理解を示した上で「入管はどうしても管理の側面が強い役所なので、難民保護と管理の両立は組織の体質的に難しいと思う」と指摘。その上で、審査に透明性が担保されることが必要だと語る。