ロンドン大学の1865~66年の学籍簿には「アサクラ」「ウエノ」「マツムラ」「シオダ」「スギウラ」など全14人の日本人の名前が。1865年といえば日本は江戸時代末期。海外渡航は死罪という時代。14人は薩摩藩から来た若きサムライ。“薩摩スチューデント”と呼ばれている。サムライたちは名前を偽ってイギリスに潜入していた。きっかけは2年前に遡る。1863年、薩摩藩とイギリスが戦った薩英戦争。イギリス艦隊の近代兵器を前に薩摩藩は大敗。その和平交渉の場で、薩摩藩は負けた相手にこそ学びたいとイギリスに秘密の留学を申し入れた。そこで集められたのがサムライチームだった。一人ひとりに学ぶべきミッションが与えられていた。