アゼルバイジャン・ナゴルノカラバフは、アルメニア系住民が多く住み、アゼルバイジャンからの独立を巡り30年以上軍事衝突が続いている。2020年の軍事衝突では、約2か月だけで、死者は双方合わせて5000人以上に上るという。この紛争で、ロシア派平和維持軍を派遣するなどして、アルメニアを支援し、強い影響力を持つことで存在を示していた。アルメニアは、軍事的・経済的にロシアに依存していたが、現在はロシアの影響力に陰りが見えている。先月25日、ロシア主催のユーラシア経済連合首脳会議で、プーチン大統領の話を遮り、アルメニアのパシニャン首相が「アゼルバイジャンはロシアの平和維持部隊がいるにも関わらず、違反して回廊を封鎖した」と主張。これに対し、アゼルバイジャンのアリエフ大統領は「我々はいかなる通路も封鎖していない。根拠のない非難のために、この会議を利用する必要はない」と反論し、プーチン大統領を差し置いて2か国で口論を繰り広げた。これまで、ロシアからの支援に頼ってきたアルメニアだが、ウクライナ侵攻以降、ロシアの安全保障協力が十分に得られていないことに不満を募らせ、現在は西側諸国に接近する動きも見せているという。27日、アメリカ政府は、アルメニア・アゼルバイジャンの両国の外相と和平に向けた会談を行なっていると発表した。背景には、ロシアの影響力低下があると見られている。