日米首脳会談について、トランプ大統領が重視する1つが貿易赤字の削減。トランプ大統領は関税を各国への交渉のカードとして使っているが、今のところ、日本に対する言及はない。公約に掲げる世界一律の関税措置を取れば、日本も影響は避けられないと見られるが、トランプ大統領自身「まだ準備できていない」と話していて、政権内で議論が続いていると見られる。また、トランプ大統領は経済安全保障の観点からアメリカ産のLNGを日本が購入するように求めるのではないかという見方も出ている。一方、トランプ大統領は会談の直前にUSスチールのCEOと面会したという。日本製鉄による買収に反対の姿勢を示すトランプ大統領だが、このタイミングでの面会だけに、買収計画も日本側との交渉のカードに使うのではと臆測を呼んでいる。経済分野は石破総理が事前の準備に多くの時間を割いたテーマの1つ。ある政府関係者は、日本の投資額を記した地図やグラフの付いた複数の資料を用意していると明かしていて、日本の投資がアメリカの雇用を支えていると分かりやすく示すねらい。こうした方針に沿って、仮にUSスチールの買収計画が議題になった場合も、投資の一環だと説明する考え。実利を重視するトランプ大統領に日本と協力するメリットを丁寧に訴えていく戦略。トランプ大統領は、同盟国が防衛力をみずから高めることを望んでいる。特にインド太平洋地域では、この4年の間に中国が影響力を拡大し、北朝鮮とロシアが急速に関係を深めるなど、不安定さが増している。NATOの加盟国などと同様に、日本にも防衛費の対GDP比の引き上げを促すほか、在日アメリカ軍の駐留経費の日本側負担を大幅に増やすことも求めてくる可能性があると見られる。石破総理は、まずは日本が取り組んできた防衛費の増額、それによる防衛力の抜本強化をアピールする方針。政府内では、日本の取り組みはトランプ政権でしっかり理解されていると、会談の成果に期待する意見の一方、トランプ大統領から防衛分野で新たな要求が出てこないか懸念する声も上がっている。政権幹部の1人は、どんな話題にも対応できるよう、石破総理は準備万端ととのっていると話している。会談の成果は日本の国益や、国際情勢に直結しかねないだけに、内外から注目が集まっている。