今年はビール各社が勝負の年と位置づける重要な年。数年前までビール各社は消費者の節約志向を意識して第3のビールを強化していたが、現在はビールの強化に動いており新しいブランドを投入している。こうした中、酒税法の改正によりビールの税額が下がる一方、第3のビールの税額が同じ金額になり25~30円程度に縮まると推定されている。業界関係者は「ビールの販売が増えたほうが利益率が上がる」と指摘するなど、ビール業界と消費者双方にプラスの効果が大きい。キリンの「本麒麟」とサントリーの「金麦」はこれまで第3のビールとして販売されていたが、麦芽の配合を変えることでビールに格上げする。これによりキリンとサントリーのビールの主力ブランドは4ブランドになる。アサヒは2月に事業戦略を発表する予定。サッポロは長年「黒ラベル」と「エビス」の強化に力を入れており、今年もこの2ブランドに集中投資する予定。2つ目の取組として、サントリーは「ザ・プレミアム・モルツ」の中身とパッケージを変える。キリンビール・堀口英樹社長は選ばれるブランドのカギについて「ブランドの特徴をしっかりと明確にして打ち出すこと」と話した。3つ目の取組として各社は消費者とのコミュニケーションの強化を行う。キリンは一番搾りで新たなプロジェクトを始め、サッポロは組織再編により外食事業を担うサッポロライオンとの連携を強めるプロジェクトを始める。一方で、販売促進費用が増加し、消費者の支持を集めることができなければ業績の大きな重しとなってしまう。各社の酒類事業(ビール類、チューハイ、ノンアルコール飲料も含む)を見ると、上場3社ではビール類が大半を占めており主力事業となっている。業界関係者は「今年のビール競争で負けると事業戦略を大きく見直さなければならない」と話している。去年12月にはアサヒグループHDが東アフリカの酒類事業を約4700億円で買収するなど海外事業の強化の流れも強まっているが、一昔前のように海外ブランドを巨額で買収する動きは低調。知名度がある海外ブランドの多くはすでに海外ビール大手の傘下に入っているため、サッポロやサントリーはグローバル市場で戦う基盤を盤石にするために国内のビール事業に力を入れている。キリンHDは医薬品や健康領域を強化している。
