勝利発生の恐れがある南海トラフ巨大地震について、国は約10年ぶりに新たな被害想定を公表。新たな想定では震度6弱以上の揺れや3m以上の津波に見舞われる市町村数は、31都府県、764市町村に及び、前回の被害想定より増加。死者数は最大で約29万8000人。うち7割は津波によるもの。建物被害数は最大で約235万棟、避難者は1230万人にのぼる。経済的被害も甚大で、計270兆円超と推計。能登半島地震などで避難生活の家庭で死亡するケースが多いことを踏まえ、初めて災害関連死の人数が盛り込まれた。2万6000人〜5万2000人にのぼるとしている。地震発生時に迅速な避難を徹底すれば、津波死者数が7割減少するなど被害を減らせるとしている。名古屋大学・福和伸夫名誉教授は「自らの命は自らが守るという意識のもと、国民には住宅の耐震や備蓄、迅速な避難行動に可能な限り取り組んでもらう」と述べた。国は夏ごろをめどに防災対策の基本計画を改定する方針。