これまでトランプ政権は国際緊急経済権限法に基づいて関税をかけてきた。国際緊急経済権限法は米国に異常かつ極めて深刻な脅威がある場合に、緊急事態を宣言すれば大統領に輸入の規制権限が与えられるというもの。これを利用してこれまでフェンタニルの流入を異常だとして中国などに関税をかけたり、貿易赤字が緊急事態だとして相互関税を開始したりしていた。これらが最高裁から今回違法だとされた。その一方で、日本にも関わる自動車や鉄鋼などに関する品目別の関税については通称拡大法232条を根拠に関税がかかっているので、今回の違法判決は訴訟の対象外に。そして、これからは新たな法的根拠で関税をかけるという。トランプ大統領は違法判決が出されたあとに通商法122条を新たな法的根拠として各国に追加関税をかけると表明。通商法122条とは国際収支赤字に対処するため大統領の権限で15%までの関税を150日までかけられるというもの。これに関して24日から全世界に15%の関税をかけるという。また、20日にアメリカの通商代表部は長期の関税発動に向けた調査を開始すると合わせて発表していて、150日という時限措置が終わっても関税を継続できるように準備を進めていると考えられる。こうした状況にトランプ大統領率いる共和党からも批判が出ている。共和党のマコウスキー上院議員は最高裁の判決について「大統領の権力が無限ではないことを示した。権力均衡のための良い判決」などコメント。共和党のペンス元副大統領は「判決は米国民にとっての勝利であり、憲法に定められた三権分立の勝利だ」など述べている。このトランプ関税への違法判決は11月に行われる中間選挙にも影響が出るとの指摘もある。同志社大学の三牧教授は「関税政策について物価高に苦しむ国民に不人気になりつつある。トランプ政権の不支持率が高まり、共和党にはトランプ氏に付き従う姿を見せることが得策ではないと考える議員も」など指摘。田中氏は「関税戦略を転換する宣言があるまで予断は許さない。戦略的沈黙を続けるしかない。」、増田氏は「今年はアメリカ建国250周年で、三権分立を守られた事に世界中の人がホッとしている部分もある。中間選挙が一筋縄ではいかないことは大統領も国民も分かっているはず。」などと指摘した。
