中国担当の奥谷解説委員に聞く。来月3日に行われる大規模な軍事パレード。中国は9月2日に降伏文書に署名した翌日、9月3日を対日戦争勝利記念日としている。習近平氏が国家主席になったあとの2014年に法律上の記念日に制定、10年前の9月3日には抗日戦争勝利70周年の軍事パレードを初めて行った。兵士1万2,000人や核弾頭搭載可能なミサイルなどの兵器も登場。天安門ではロシア・プーチン大統領らが習近平主席とともにパレードを観閲した。今回のパレードでは前回を大きく超える数の兵士が参加する。中国の国内向けの狙いは「習近平指導部の求心力高める」、「共産党一党支配の正当性アピール」。軍は習主席の権威の源にもなっているため、最高指導者の威光を示す狙いがあるという。これまで国民が共産党に従ってきたのは、経済発展に伴い暮らしが豊かになるのを実感できたからだった。共産党の一党支配が“経済発展”だけでは正当化は困難になり、批判や不満への危機感がある。この夏は日中戦争関連の映画やテレビ番組などさまざまな宣伝活動を行い、日本の侵略の残酷さを強調したものが多くあるという。映画「南京写真館」は南京事件を描いたもの。この夏の映画としては最高の興行収入となっている。映画は史実とフィクションがごちゃまぜの内容となっている。日本の外務省は反日感情の高まりに特に注意をする必要があるとして、中国渡航者・現地在住の日本人に不審者の接近など周囲の状況に注意を呼びかけている。軍事パレードの対外向けのねらいは「国際的な発言力の強化」、「アメリカへの対抗姿勢を強調」。軍事パレードにはプーチン大統領のほか外国の首脳も何人か出席する予定で、“第2次世界大戦全体の勝利に貢献した”という歴史観を世界に広めたいねらい。世界の発展と国際秩序は“中国がロシアと並ぶ最大の貢献者”とアピールしたいものとみられる。5月に行われたロシアの軍事パレードでは習主席は主賓として招かれ、中国とロシアの共同声明で一般的ではない歴史観にロシア側も同調した。今回際立つのはアメリカに対抗するねらい。今月31日から上海協力機構の首脳会議が開催される。おととしにはイラン、去年はベラルーシが加盟して、アメリカと対立する国が増え、アメリカへの対抗軸という色彩が強まっている。奥谷解説委員は「既存の国際秩序に対抗姿勢を示す形になりそう」などとコメントした。
