急な結婚の後、召集令状によってひと月で離れ離れになった次郎とちとみ。ちとみはここに至るまでどのように歩んできたのか。母方・齋藤家のルーツを辿った。齋藤家が代々暮らしてきたのも長野・下條村。峰の兄・俊二は齋藤家に婿養子に入っている。齋藤家は江戸時代に船問屋を営み、周辺の村から集めた農産物などを取り扱っていた。ちとみの祖父・玉三郎は船問屋だけでなく手広く商売をしていた。その玉三郎の長男がちとみの父・誠護。誠護は養蚕に力を入れ、事業に成功している。誠護の娘として育ったちとみは謙虚さを受け継ぎ朗らかな女性だった。