田中さんは「日本だと行政が公衆トイレを設置するが、行政がなかなか動いていないということなんですね」とコメントした。取材したパキスタン以外にもそもそも自宅に「基本的なトイレ」がないという国も多く、他の家とトイレを共有しているという「限定的なトイレ」、バケツに排泄し外に捨てるなどの「未改善のトイレ」がそれぞれ7%ある。さらに日常的に「屋外排泄」が行われているのは4億1,900万人にのぼる。屋外排泄は水の汚染などにも繋がり、子どもたちが下痢などで命を落とすこともある。こうした状況を変えようとユニセフなどではトイレの資材を支援し、作り方を教え屋外排泄の代わりにトイレを使用するよう啓発活動を行っている。西アフリカにあるギニアビサウでは植物で目隠しをし、大家族ごとに手洗い場付きのトイレを設置。グアテマラでも簡易な手洗い場を設置するなどしている。途上国ではトイレのある・なしで女子教育にも大きな影響を及ぼしている。ユニセフによるとアフリカの女の子の10人に1人は生理中に「トイレがない」という理由から学校を休んだり退学するなどしているという。国連が掲げる2030年までの開発目標・SDGsの1つにも「安全な水とトイレを世界中に」と挙げられている。