東京・世田谷区にある「楽ちん堂カフェ」を取材。不登校、障がい者、自分探し中の青年など様々な事情を抱える人たちが集まってくる。女将・森田清子さんは「苦い思いを知れば知るほどとてもいい社会人になるのではないか」と話す。去年10月、楽ちん堂に通うようになった1人の女の子。あーちゃんは中学1年の途中から急に言葉が出なくなり不登校になった。母はシングルマザー。母は漫画家を目指していたが、関節の病気になり夢を諦め、精神的にも不安定となり治療を受けている。楽ちん堂に来たきっかけはYouTube。動画で知り、去年8月に訪れた。去年10月に千葉県から楽ちん堂の近くに引っ越してきた。小学3年生から楽ちん堂に通うチヒロさんも不登校だったが、中学への入学を機に学校に通うようになった。しかし、半年を過ぎた頃には行ったり行かなかったり。来た頃はほとんど喋らなかったチヒロさん。あーちゃんを笑わせようとちょっかいを出すことも。同じ中学で登下校が一緒なので迎えに行くことも。それがきっかけでチヒロさんも学校に足が向き、今では2人とも週2日は学校に行っている。少しずつ周りの人に心を開くようになったものの会話はできず。冬休みには近所の住宅でゆず狩りを楽しんだ。言葉は交わさないが確実に楽ちん堂の仲間との距離は近づいている。この日は子どもだけのカラオケ大会が開かれた。小学生の頃のあーちゃんはカラオケが大好きだったが、今はみんなが歌うのを聞くだけ。チヒロさんがリモコンを渡すと、あーちゃんの指が動き出した。まだ声を出せないあーちゃん。みんなが応援するように歌う。すると、あーちゃんの声が聞けた。森田さんは「長く彼女の声が聞けてうれしい。チヒロがいいタイミングで誘うのが見られてうれしい。彼の成長でもある」と涙ながらに話した。後日、母が描いたのは”人生で今が一番幸せです”。