ふるさと納税を利用する人が増え続ける中、地方を中心にたくさんの寄付を得る自治体がある一方で東京などでは税収が減ってしまって頭を抱える自治体も相次いでいる。群馬県の東部にある千代田町。人口は1万余りで、町で唯一の中学校は築50年以上。修復してはまた起きる雨漏りに悩まされてきた。中学校で今、念願の建て替え計画が進んでいる。それを後押ししたのはふるさと納税。町内の工場で造られるビールを返礼品にしたところ人気を集め昨年度の寄付額は群馬県内で最も多い30億円になり、町の収入の3分の1を占めている。高橋純一町長はふるさと納税による収入が行政の充実につながっている。一方、ふるさと納税によって苦悩する自治体も。その1つ、人口92万の東京・世田谷区は区民がふるさと納税を利用して別の自治体に寄付することで区の税収が減っている。保坂展人区長によると、減収額は年々拡大し、今年度は初めて100億円を超えて110億に達する見通し。世田谷区では令和18年度までに区立の小中学校49校の改築が計画されているが資材の高騰などもあって計画の見直しを迫られた例もあり減収の影響を受けている。今後、さらに減収が拡大していけば、ごみ収集や清掃など日々の行政サービスが低下するおそれを懸念している。都内の自治体で相次ぐ税収の減少について、東京都の小池知事はきょうの会見で受益と負担という地方税の原則をゆがめているとしてふるさと納税の抜本的な見直しを国に求めていく姿勢を重ねて示した。